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世にも絶妙な物語 第一話

2023年05月30日

それは、昨年の今頃の事でございます。或る日次男と入浴中に、ひょんな事から激しく口論になりました。

愚息は、長男とは性格が全く逆でございまして非常に活発な少年で一本気な性格とでも申しましょうか、そう申せば長所とも取る事が出来るのでは御座いますが一度こうと言い張りますと全く折れないある種面倒くさい頑固な性格の持ち主で御座います。しかもそれが良い方面に発揮される事は皆無に等しく例えば勝負事などに於きましては勝つまで張る、ゲームのガチャやコンビニの一番くじなどでは目当てが当たるまでか手持ちが尽きるまでと言った次第に御座います。

比較対象の長男はと申せば、それは大人しく優しい性格を持ち合わせておりまして下校途中に街路樹に向かって何か話し掛けているのを見かけた御近所の御婦人が、何事かと心配してお声掛けを頂きましたところ「お声掛け頂き大変恐縮です、今しがたこの枝にて身体を休めている蝶々の幼虫に、このまま登って行けば美味しそうな若葉まで到達出来る故、迷わず進めと申しておったところであります」と返答したとの御報告を頂戴致しまして、両親共にあまりにも現世離れしておると困惑すると言う性格でございます。このように全く性格の異なる兄弟が当家には共存しておりますゆえに衝突多く、常々長女は二人の間に仲裁に入る役割を担っておるような状態で御座います。

さてお話は冒頭に戻るので御座いますが、かれこれ十年以上前から私は次男と共に毎日入浴する事が日課になっておりまして、その日も共に入浴しておる間の会話が契機となりまして口論に至った次第であります。

「父上、父上は健康診断結果数値が芳しく無いと母上が常々申しておりましたが、病院にはいつ行かれるのか今日こそお聞かせ願いとうございます。常日頃より父上からは有言実行こそが帝国男児、武士の本懐と伺い聞いておりますが、ならば今こそ明確にして頂きたい」

「無礼な。親に向かってなんたる物言い。年長者の言ふことに背いてはなりませぬ。年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ。無礼な。什の掟を忘れたか」

最終的にはそのようなやり取りになってしまっておりましたが、つまり最初は他愛のない、父上よりも僕の方が女性にモテる、お前よりもオレの方が麻雀が強い、などと言った程度のマウントの取り合い合戦からここまで発展するとはとどのつまりは同低レベルでの情けない口論としか言いようの無い、これこそがまさにお恥ずかしい話、世にも絶妙な物語の始まりでございます。

第二話に続く

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